2014-02-27

3Dプリンターによってサプライチェーンが変わる、すなわち、必要なパーツを倉庫から倉庫へ運搬するのではなく、倉庫に3Dプリンターを置いてその場で造形する時代がやってくる、といった声が聞かれる。しかし、積層造形のエキスパートであるARCによると、そういった声は3Dプリンターの可能性を誇張したものだという。

一言で積層造形を行うといっても、ただ3Dプリンターを購入すればよいというわけではない。例えばGEがジェットエンジンのノズルを3Dプリンターで造形することを発表し話題になったが、同社は本格的に積層造形に移行できるようになるまで、10年以上もかけて積層造形プロセスを改良してきた。金属の積層造形に使われるレーザー焼結3Dプリンターでは、造形される金属製品の性質が、プリンターの設定や金属粉末の配合に大きく左右されてしまう。こういった課題について、GEでは莫大なリソースを投資して研究してきた。

また、精度の問題もある。従来の切削加工の場合は3,000分の1~10,000分の1インチ程度の誤差だが、積層造形の場合は2,000分の1インチ程度の誤差になってしまう。つまり、造形後にさらに仕上げ工程が必要になるということだ。精度を測定すること自体もハードルが高く、機器などに大きな投資をしなければならない。

さらに、従来の切削加工機では標準的な「リアルタイムで加工を監視する機能」もまだ現在の3Dプリンターには備わっていない。最悪の場合、何時間もかけて積層造形を行ったにもかかわらず、途中でコントロール不能になってスクラップにしなければならなくなった、といったこともあり得る。

積層造形技術の進歩とともにこういった課題は乗り越えられるはずだが、それにはまだ数十年かかるだろう。

参照: http://www.forbes.com/sites/stevebanker/2014/02/26/3d-printings-ability-to-transform-supply-chains-is-years-away/